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IT投資による生産性、日本ではなぜ向上しない?-アクセンチュア調査


システムインテグレーション&テクノロジー本部 テクノロジーコンサルティング統括 エグゼクティブ・パートナーの沼畑幸二氏

調査結果、3つのポイント
 アクセンチュア株式会社は5月21日、「日本におけるIT生産性に関する調査結果と提言」に関する定例記者会見を開催。システムインテグレーション&テクノロジー本部 テクノロジーコンサルティング統括 エグゼクティブ・パートナーの沼畑幸二氏が、国内でIT投資が生産性向上に寄与しているのかということに関して、アンケートを基にした調査結果を報告した。

 同調査では、2006年9月から10月にかけて、各業界の日本企業の管理職232人を対象にアンケートを実施。別途米国で行った同様の調査と比較するとともに、232人の内、115人がIT部門の管理者、117人が業務部門の管理者と区別して調査することで、両者の意識差にも着目している。

 同調査によると、IT投資による効果を実感している人が、米国に比べて日本では非常に少ないとのこと。「IT部門の貢献によって企業の生産性は向上しているか」という質問では、「向上している」との回答が日本では52%、米国では75.5%と大きく差が開いている。また「IT投資と経営目標の整合性が取れているか」という質問では、「取れている」との回答が米国では8割を超えるのに対して、日本では4割にも満たないという。さらに経営層の中でのCIOの位置づけとして、「経営層とCIOが緊密に連携しているか」という質問では、「連携が取れている」との回答が米国では79.5%、日本では43%だったと報告された。

 また「この3つの質問いずれにおいても、業務部門よりもIT部門の管理職の方が現状に対して厳しい認識を抱いている」(沼畑氏)ことが判明したという。

 米国と比べると、いずれも日本ではマイナスの結果となっているのだが、一方で、ITによって企業価値創出や生産性向上のために何をすべきか分からないと回答した割合は日本の方が低いという。「言い換えると、ITによってやるべきことは見えている状態なのではないか。つまり、それらをどう実行していくかが、今後のIT生産性向上への鍵となる」と沼畑氏は言及した。

 こうした調査結果に対して今回、アクセンチュアでは日本のIT生産性が低い要因について考察。その第1要因として沼畑氏はビジネスとITとのかい離を挙げた。「日本的縦割り組織によりITが機能組織別に分化していることに加えて、ITの人材不足、CIOが経営に対して十分に機能していないことが要因と考えられる。特に、日本では専任のCIOが存在する割合が5.8%しかなく、ほとんどがCIO以外の担当役員が兼任している場合が多い。それどころか、そもそもCIO自体が存在しない企業が半数近い」(同氏)と述べた。その上で、IT投資がうまくいっている企業では総じてCIOの存在感が高いことを指摘し、日本の問題点は「他分野に比べてCIOのミッションが不明確。そのため社内の協力体制が整っていないことだ」とした。

 こうした問題に対して、1)CIOおよびIT部門の役割を明確化すること、2)IT投資マネジメントを確立すること、3)ITの人材不足に対して思い切った施策を講じること、4)それに伴い、全社的なIT戦略を明確化すること、の4点がIT生産性を向上させるためのポイントだと沼畑氏は語った。



URL
  アクセンチュア株式会社
  http://www.accenture.com/jp/


( 川島 弘之 )
2007/05/21 18:30

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